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緩和ケア病棟案内パンフレット

平成29年5月1日より、緩和ケア病棟(20床)を開設いたしました。
緩和ケアについて、入院までの流れなど、ご利用に関する案内パンフレットを作成しております。
PDFファイルにてダウンロードできますので、どうぞご利用ください。









そもそも「緩和ケア」とは何でしょうか。
WHOによれば、死と背中合わせの疾患の患者さんとそのご家族に対して、様々な問題を早期から特定して治療・処置を行なうことにより、QOL(クオリティー・オブ・ライフ:生活の質)を改善するものであると、2002年に定義されています。このなかで重要なのは、「死と背中合わせの疾患」の「患者さんとそのご家族」に対するものであること、そして「早期から」介入して行なうという点です。
抗がん治療のなかで緩和ケアがなぜ必要なのかといえば、がんの痛みや治療の副作用によって、普段できていた生活が困難になっていくからです。
髪の毛が抜けることや体の痛みといった「身体的苦痛」、不安や孤独感、怒りを感じる「精神的苦痛」、仕事を続けられないことや、家族のなかでの役割を果たせないことへの「社会的な苦痛」、なぜ病気になってしまったのかと悩みを抱えてしまう「スピリチュアルペイン」。それらのトータルペイン、全人的苦痛への対応が求められます。
つまり緩和ケアは、がん治療に加えて、生活を支えていくために必要になってくるものであると考えています。

私は研修医の時に、がんの痛みで困る患者さんの症状を和らげるための医療用麻薬の勉強を始めました。
がんそのものの治療はもちろん大事ですが、その痛みをコントロールして支えていく治療が、患者さんとご家族にとってどれくらい大切かということを目の当たりにしたからです。また、がんということを患者さん本人に知らせない場合には、患者さんとご家族との溝が広がっていくことも少なくありません。
治療を重ねるなかで、患者さんは「何か隠されているんじゃないか」という孤独感を強く感じるようになるためです。
ですから、これまで担当したがん患者さんのご家族へは、自己決定ができるのであれば、症状について患者さん本人に説明した方がよいことも伝え、患者さんとご家族と一緒に症状や治療について話をするようにしてきました。
入院中、「痛い痛い」と言って食の進まない患者さんが、外出・外泊して好きなものを食べて戻られたりするのですね。もし心と身体がまったく別のものならば、病院で痛いものは家でもずっと痛いはずです。
これはがんの患者さんに限らず、だいたいの方が「ああ疲れたな」と感じていても、仲のいい友人から飲み会に誘われれば「行く行く」と出かけてしまうのと似ています。
ただ、がんの患者さんの場合は、身体の疲れが、健常者よりも一層深刻にのしかかるため、それだけ気持ちの部分でサポートすることが大切になります。その人が望む、好きな場所で過ごせるということ。
そのときの患者さんの気持ちこそが、身体の症状を大幅に抑えてくれると感じています。

患者さんがどこで過ごしたいのか。その選択肢がひとつしかなければそれまでですが、常に患者さん本人に選んでいただける環境をつくりたいと思っています。病院でも在宅でも、患者さんとご家族が地域のなかで安心して過ごせるような仕組みを、今後ますます構築していきたいと考えています。






「どこでもPケア」の「P」は「Palliative Care(緩和ケア)」と「Patient-centered (患者さん中心)」と「Parking(ギアのパーキング)」のP。
患者さんを中心に、何か問題があればその都度ギアをPに入れ、多職種で集まって取り組む緩和ケアを目指します。
例えば、がんの治療を専門の医療機関で行なうなか、仕事ができない期間の生活を支援する制度について知りたいとき、医療ソーシャルワーカー(MSW)が相談に乗ることができます。
方針を立てて治療を行い、そのまま完治することが望ましいですが、完治できない場合には、そのまま緩和医療を単独で行なうBSC(Best Supportive Care)になるかもしれません。そのため、診断された早期から、切れ目なく伴走するバックアップと、心理カウンセリングや社会生活のための相談支援が必要です。
もっとも大切なことは、患者さんとの信頼関係を築くこと。治療の早期から診ることができれば、患者さんは少しでも気持ちに余裕のある状態から、様々な状況への準備をすることができますし、医療者側も、心身に苦痛を抱えていない、平素の状態から患者さんを知ることができます。
患者さんが抱える社会的な問題などについては、話をするなかで徐々にわかっていくことは多いので、回数を重ねていくだけの期間がとても大切です。




患者さんとご家族にとっての最終ゴールをどこに設定するのかということによって、治療期間の計画や方針は変わってきます。治療により完全に治る場合はよいのですが、残念ながらそうならない場合もあります。
しかしながら、自分はどこで過ごしたいのかということがよくわからないままに過ごしてしまっている患者さんは、実は少なくありません。治療をしながらでも本当に家で過ごしたいと思うならば、家で過ごすことに焦点を絞って体制をつくらなければ、家で過ごすことはできません。時間も患者さんの体力も限られています。
そのとき、最短コースで実現へ向けて準備できるように、患者さんとご家族には、「どこでどんな風に過ごしたいか」ということを、ぜひ日頃からよく話し合って思い描いていただけたらと思います。




ふくやま病院では、2010年から「バックアップ連携」というかたちをとり、がんセンターで治療を行なう患者さんに外来へ通っていただき、幅広いケアを行なっています。緩和カンファレンスも週に一度行なっており、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、医療ソーシャルワーカー、カウンセラー、訪問看護師など約20人ものスタッフがチームで患者さんの情報を共有しています。
がん治療専門の医療機関からは、治療や治療薬について詳しい説明がありますが、患者さんがそれを一度にすべて吸収することは、予備知識がなければなかなか難しいことです。
ふくやま病院は、抗がん剤治療などの専門的な治療を行なっていないからこそ、様々な職種と連携しながら、患者さんの痛みや不安を和らげることに尽力します。また、ご家族に介護力がない場合には、緩和ケア病棟を選ばれることもありますが、患者さんとご家族の意向があれば、最終的にご自宅へ帰っていただけることを目標にしています。
患者さんが過ごされたいところで過ごせるよう、場合によっては地域の訪問介護や訪問看護とも調整を重ねます。今後は、宗教家やボランティアなど、地域との連携をさらに強め、包括的に患者さんを支援していくことを目指しています。







がんになることで、それまで持っていた人間関係や社会とのつながりが断ち切られて、自らの存在意義がどんどん小さなもののように感じられてしまうことがあります。この時に感じる痛みに対しては、今度は今までとは違う新しい関係、つまりその人にとっての安心ややりがいが感じられるような結びつきを、新たにつくっていくことが役に立ちます。
緩和ケアというのは、苦痛を取り除くという部分がしばしばフォーカスされていますが、それだけでなく「失われていくものに対して、これまでその人になかったものを新たに加えていくこと」も必要であると考えます。
そのためにも、ふくやま病院のコミュニティホールやライブラリー、緩和ケア病棟は、患者さんが新たな知識を吸収したり、これまでになかった関係を築いたりしていくためにも大切な場所だと考えています。

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