鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、臍ヘルニアに対して、手術を行っています。
大人の鼠径ヘルニア
どんな病気?
鼠径ヘルニアは下腹の筋膜や筋肉などお腹の壁(腹壁)となっている膜が衰えることで、本来ならお腹の中(腹腔内)にある腸などの臓器がヘルニア嚢(のう)という袋に包まれた状態で皮膚の下まで出て来ることです。
脱腸と言われることもあり、足の付け根の部分が盛り上がって発見されることがあります。
盛り上がり(膨隆) は、ピンポン球大(2-3cm)からこぶし大(10cm)を越えることもあります。
立ったり、重いものを持ったりすると盛り上がり、横になると元に戻るというのが初めの症状ですが、徐々に大きくなると歩きにくくなったり痛みが出てくることもあります。
どんな人がなりやすい?
特に中高年の男性に多く起こる傾向があります。また、40代以上では職業が関係していると言われていて、腹圧のかかる仕事や立ち仕事をする人に多く見られます。体質としては、便秘症の人、肥満の人、咳をよくする人で見られることが多いです。
治療法は?
鼠径ヘルニアは自然と治ることはなく、手術で治療するか治療をしない(経過観察)のどちらかです。
盛り上がりが元に戻らない(嵌頓:かんとん)場合は、出てきている腸の血のめぐりが悪くなって腐ってしまい(壊死:えし)、生命の危険があるので緊急手術の必要があります。
嵌頓していなくて、痛みなどの症状だけの場合も原則として手術が望ましいです。
手術はヘルニア嚢に入っている腸などの臓器を腹腔内に戻して、ヘルニアの出口を人工の栓(プラグ)でふさぎ衰えて弱くなっている周りの膜を人工の膜(メッシュ)で補強する、メッシュプラグ法という方法が広く行われています。
そのほか、人工の栓や膜を使わない従来法、腹腔鏡を使う腹腔鏡手術などが行われています。
ふくやま病院での実際の治療は?
ふくやま病院では脊椎麻酔(下半身麻酔)でメッシュプラグ法の手術を行っています。
外来で手術前の検査を行い、手術前日に入院、手術当日は安静にしていただき、頭痛や手術部位の痛みなどの不具合がなければ退院となります。入院期間は4日-1週間です。手術1週間後に入院もしくは外来で抜糸をします。
鼠径ヘルニアは珍しい病気ではありません。適切な時期に適切な手術をすれば治ります。
おへそから足の付け根にかけての盛り上がりが気になったら、外科外来にご相談ください。