下肢静脈瘤
どんな病気ですか?
心臓から全身に行き渡った動脈は全身の細胞に栄養・酸素を運んだ後、静脈となって心臓に戻っていきます。
下肢(足)の静脈は重力に逆らって下から上に戻っていきます。
そのためには、心臓にかわるポンプの役目をするのが足の筋肉です。足をわずかに動かしただけで、足の筋肉が静脈を絞り上げて血液を上へと運んでいきます。
また、重力によって下へ落ちていく血液をせき止めるための「弁」も重要な役目をしています。
下肢静脈瘤は、この「弁」に異常が起きて血液が逆流してしまう病気です。
どんな症状がありますか?
軽症例では「血管が浮き出て気になる」などの見た目上の症状だけですが、放置して重症化してくると筋肉のうっ血症状(だるさ、こむら返り)、皮膚のうっ血症状(かゆみ、皮膚潰瘍)が生じてきています。
どんな治療法がありますか?
弾力ストッキングで圧迫する保存療法
初期治療では弾力ストッキングで圧迫する保存療法を行います。
足に適度な圧力を加えて余分な血液がたまることを防ぎ、足の深部にある静脈への流れを助けます。
ただ、弾性ストッキングは正しく使用しないと治療の目的を果たせず、「硬くてはきにくい」「すぐにずり落ちてしまう」と言ってはけないままになってしまう患者も多くいます。
そのため、ふくやま病院では弾力ストッキングの正しい使用法に熟知した「弾性ストッキング・コンダクター」の認定をもつ看護師が在籍しています。
手術法
弾力ストッキングでは症状を一時的に抑えるにすぎず、根治的には手術が必要となります。手術法には以下の術式があります。
- 逆流する静脈を糸で縛る結紮手術(軽症例)(薬剤を用いて血管を固める硬化療法を併用することもあります。)
- 逆流する静脈を引き抜くストリッピング手術(重症例)
手術の大半は3、4日程度の入院で済みます。結紮手術であれば日帰り手術が可能です。(ふくやま病院では手術当日1泊入院していただいています。)
※その他の手術法として、血管内にカテーテルを挿入し、血管内部からレーザーまたはラジオ波を照射して血管壁を熱で焼き、閉塞させる「血管内レーザー焼灼術/ラジオ波」があります。
ふくやま病院では行っていないため、他の病院を紹介させていただきます。
下肢静脈瘤でお悩みの方は…
下肢静脈瘤が進行すると足の皮膚が弱くなり、細菌に感染しやすくなります。足を常に清潔に保ち、早めに治療を受けましょう。
足の静脈瘤が気になられる方は、外科外来を受診して下さい。